【イベントレポート】五感で楽しむ「コーヒーを観察するワークショップ」――お気に入りの一杯に出会う、香りと発見のひととき
01. イントロダクション
「普段、おうちで何気なく飲んでいるコーヒー。でも、自分の本当の好みってどこにあるんだろう?」
そんな疑問を抱くコーヒー愛好家のために、先日、特別なワークショップが開催されました。タイトルは「コーヒーを観察するワークショップ」。美味しいコーヒーの答えをこちらから押し付けるのではなく、参加者自身が五感を使って「違いを観察し、自分だけの好みを見つけていく」という試みです。
02. ワークショッププログラム概要
このプログラムでは、参加者がコーヒー豆の観察と実験経験を通じて、自身のコーヒー道をより深める場となるように務めています。
開催日
2026年6月21日(日曜日)
内容
・豆の観察、挽いた後のコーヒーの観察
・抽出前のコーヒー豆の観察
・コーヒーのテイスティング
会場となったのは、14年間手網焙煎を続けてきているコーヒー豆専門店と美術ギャラリーが融合した心地よい空間。講師を務めるのは、コーヒーへの深い愛と専門知識を持つ飯島里沙さんです。そして、店舗の半分を占めるギャラリーの企画運営を担当し、この日もカメラを片手に進行をサポートする助手のむらいじゅんさん。
この日集まったのは、コーヒーの奥深い世界をもっと知りたいとやってきた4名の男性参加者の皆さん。アットホームでワクワクした空気の中、特別な時間がスタートしました。

豆の姿、挽いた瞬間の香り……五感で “観察する” コーヒーの驚き
ワークショップの最初の主役は、世界4つの大陸(アジア・中米・アフリカ・南米)から集まった個性豊かなコーヒー豆たちです。参加者の皆さんは、まずはそれぞれ15グラムずつ豆を計量し、じっくりと「観察」することから始めました。

まず一同が驚いたのは、飯島さんが用意してくれた「生豆(焙煎する前の豆)」の姿です。

「なんだかお米のぬかみたい!」「ちょっと青臭い匂いがしますね」


普段見かける茶色いコーヒー豆とは全く違う、薄緑色の生豆を前に、参加者の皆さんからは驚きの声が上がります。カビや虫食いのある「欠点豆」を人の手で取り除く「ハンドピック」の大切さを学びつつ、さらに「精製方法」による違いへと話が進みます。
果実のまま天日干しする「ナチュラルプロセス」という方法の生豆に鼻を近づけると、焼く前なのに果物のような甘い香りが。一同は「えっ、生豆なのにこんなにフルーティーなの!?」と目を丸くしていました。
続いて、飯島さんがその場で豆を挽き、粉(ドライ)の状態での香り比べが行われました。
「豆のままと、挽いた後では香りが全然違う!」

ここからは飯島さんの「考えるな、感じろ!」という合言葉のもと、参加者同士の自由な意見交換が白熱します。
「ブラジルはなんだかワイルドな感じがする」
「こっちの豆は、なんだかおせんべいみたいな匂いが……」
飯島さん:「分かります!私も以前、インドネシアの豆を『醤油』って表現したことがあるんですよ。濃厚で濃密な感じですよね」
目の前に並んだ浅煎りの豆と、大きく膨らんだ深煎りの豆のサイズ感の違いにも、参加者からは「画像では見たことがあったけれど、目の前で見ると大きさの感覚が全然違う。おおっ!ってなる」と、リアルな体験ならではの感動の声が漏れていました。
—
抽出のドラマ:お湯を注いだ瞬間に広がる、新しい世界
観察ワークで豆の特徴を掴んだ後は、いよいよ「抽出(淹れ方)」の実践へと移ります。今回のメインはあくまで飲み比べ。飯島さんは「どんな淹れ方をしても美味しくなるような豆を焼きたい。だから抽出の技術自体にこだわりすぎないのがモットーです」と、笑顔で独自のスタンスを語ります。
まずは浅煎りの2種類(エチオピア、ニカラグア)の抽出です。なるべく同時に淹れ立てを提供するため、今回は「クレバードリッパー」という浸漬式(お湯を一定時間溜めてから落とす方法)の器具が使われました。

お湯を注いで蓋をし、じっと待つこと4分。お湯を注いだ瞬間に、またしても香りがドラマチックに変化します。
「なんだか味噌や醤油のような、心地よい発酵の匂いを感じる!」
4分が経ち、ドリッパーをサーバーの上に乗せると、底の弁が開いて美しい琥珀色の液体がどーっと落ちていきます。その透明感のある美しい色合いに、全員の視線が釘付けになりました。
続いて、深煎りのブラジルは飯島さんによる丁寧なハンドドリップで。浅煎りよりも少しお湯の温度を下げ、中心から円を描くようにお湯を注ぐと、ふっくらと膨らむ美しい泡が立ち上ります。確かな手つきを、参加者の皆さんは注視していました。

—
試飲と座談会:個性が爆発する「美人例え」と、冷めていく感動
提供する前に、必ずサーバーを回して攪拌(スワリング)し、全体の味をなじませます。それぞれのカップに注がれたコーヒーを一口含んだ瞬間、参加者の皆さんから「あぁ、美味しい……」感嘆の声が漏れました。
飯島さんから「コーヒーは一気に飲み干さず、少し残しておいてくださいね」とアドバイスが。
少し時間が経ち、コーヒーが冷めてくると、参加者の皆さんから再び驚きの声が上がります。
「熱いときには隠れていた、フルーティーな酸味や甘みがはっきりと出てきた!」
「全然違う表情になりますね。2回楽しんでいるみたい!」
温度変化によって変化する繊細な味わいを言葉にする楽しさに、誰もが夢中になっていました。

喉が潤ったところで、座談会はさらに盛り上がります。ここで飯島さんから、4大産地の味わいの特徴を「美人」に例えた、とてもユニークな解説が飛び出しました。
中米(パナマなど):華やかで完璧な黄金比率を持つ「超スーパーモデル」
南米(ブラジルなど):親しみやすく安心感のある「クラス一番の美人さん」
アフリカ(エチオピアなど):癖はあるけれどグラマラスで美しい「黒人女性の美人さん」
アジア(インドネシアなど):個性的で、ハマると抜け出せない「個性派美人」
さらに、水で洗い流すウォッシュドは「すっぴん(素顔)」、果実のまま干すナチュラルや発酵を施すアナエロビックは「お化粧(メイク)」という表現に、一同「なるほど!」と深く納得。
また、助手のむらいじゅんさんからは、現代のコーヒーカルチャーを踏まえたこんな深い一言も。
「今は浅煎りと深煎りでファンが分かれがちですが、食わず嫌いはもったいない。こういう機会にあえて普段飲まない味わいに触れることで、好みの幅が広がり、コーヒーがもっと面白くなりますよね」
—
結び:自分だけの「一杯」を探す旅は、ここから始まる
楽しい時間はあっという間に過ぎ、気がつけば予定の時間を30分以上もオーバーしてしまうほどの熱気と笑顔に包まれたワークショップとなりました。
最後には、自分で計量したお気に入りの豆をお土産袋に入れ、熱で密閉するシーラーの作業を体験してお開きへ。

参加者の皆さんからは、「自分の淹れ方に迷いがあったけれど、豆の性質を知ることで抽出のイメージが湧いた」「並べて比べることで、自分の好きな系統がはっきり分かった」と、充実感に満ちた感想をいただきました。
コーヒーの楽しさは、正解を探すことではなく、違いを見つけること。
当店では、今後も「数ヶ月経った古い豆と、焙煎直後の新鮮な豆の飲み比べ」や「保存方法による味の検証」など、自宅ではなかなかできないワクワクする体験型イベントを企画していく予定です。
今回参加できなかった方も、次回はぜひ、この香ばしい香りと新しい発見に満ちた空間へ、自分だけの「美味しい一杯」を探しにきませんか?皆さんのご参加を、心よりお待ちしています!
(レポート by GM)

